伝え方がうまくなるためには、「自分の性格を切り離して伝える」ということ。(本文より引用)
「伝える」と「伝わる」の違い
この本は、伝えたことが伝わるようになるための方法がわかる。伝えたのに伝わってなかったという経験は誰にでもあると思う。僕も以前に、紙にまで書いて渡したのに伝わってなかったという経験がある。文章もどんなふうに書けば伝わりやすくなるのかピンとこないまま手探りで書いている。言ったのに伝わらない、書いたのに伝わらない。こういう問題はどうして起こるのか?
本書の中で「伝える」ことと「伝わる」ことは違う、と繰り返し書かれている。伝えるということは発信者の視点であり、対して伝わるということは受け取る側の視点である。つまり内容が伝わったかどうかを判断するのは、相手ベースで考えないといけないということ。なぜなら発信側の頭の中と、受け取る側の頭の中には必ずズレがあるから。なので言葉は受け取る側の脳内で、受け取り方や意味合いが変換されてしまう。発信側は、相手の頭の中に自分と同じ絵が浮かんでいるだろうか?と考えることが大切である。
伝わる構造
自転車はペダルを漕ぐと、この踏み込んだ力がチェーンを通じてタイヤがまわる構造になっている。同じように伝わるにも構造がある。自転車には進む構造があり、言葉には伝わる構造がある。この構造は7つの階層になっていて、7階建てのビルに例えて説明されている。7つの項目ではなく、7階建てのビルになっているのは、どれかひとつが抜けてしまっただけで伝わりにくくなってしまうからだと思った。
伝わる7階建ての構造は、①ゴール設定→②納得感→③相手ベース→④見える化→⑤聞く力→⑥親近感→⑦信頼感の7つからできている。簡単に説明すると、何のために伝えるか。相手が内容に納得しているか。相手が納得できるように表現を変えたりしているか。相手が話の内容をイメージできているか。相手が考えていることを聞けているか(相手の脳内を知ろうとすること)。相手に親近感を持ってもらえているか。相手に信頼されているか、という構造になっている。
7つのどこが抜けるとどうなるか。「ありがたい話だが、なんか胡散臭い(信頼感が薄い)」「説明は聞いたが、結局何をしたらいいのかわからない(ゴール設定ができていない)」のように相手にうまく伝わらないということが起こる。
伝わる技術
伝わる構造がある。相手と自分の頭の中のイメージにはズレがある。そのことがわかったあとは伝える技術が役に立つ。本書では16個の方法が紹介されている。その中から3つ抜粋する。
1.比較の法則
あるものと比較することで、魅力を伝わりやすくする。比べる対象があると、価値や魅力がくっきり浮かび上がる。焼肉の部位食べ比べもこの一例である。ひとつの部位だけを食べるよりも、それぞれの部位の良さが際立つ。
2.ファクトとメンタルの法則
伝える内容には事実に関するファクトと、感情に関するメンタルのふたつがある。これらを踏まえて伝えないと、うまく伝わらないことがある。部下に注意をする時は、このファクトをメンタルを混ぜこぜに伝えてしまうと、不機嫌で怒っているかのように伝わって、改善してほしいポイントが伝わらなくなってしまう。こういう場合はファクトだけに絞って伝える方が伝わりやすい。
3.ネーミングの法則
名前をつけると、他のものと違いが明確になったり、特別感が出る。より価値や魅力が伝わりやすくなる。シンプルな「沖縄旅行」より、「沖縄グルメ三昧の旅」の方が楽しそうな響きがしないだろうか?読書術の本なども読んでいると、ほとんどの著者が自分の読書術に〇〇読書と名前をつけている。
伝わるために大事なこと
伝わることは難しい。だからこそ伝わると嬉しいし、また伝えることに挑戦したいなとも思える。著者である柿内さんは、恥ずかしがり屋で、アピールも苦手な青年時代を過ごしていたそうだ。就職の集団面接では特に苦労をしたとある。しかしそんな柿内さんも、仕事を始めてからある言葉がきっかけで大きく変われた。それは仕事に恥ずかしさをもちこんじゃいけない。性格と仕事は切り離せ。(本文より引用)という先輩からの言葉だった。
伝える段階で、自分なんかが言っても…、誰かが気にするかもしれない、〇〇なふうに思われたどうしよう、などいろんな思いが湧き上がってくるかもしれない。でも伝えないと、存在しないのと同じになってしまう。だから性格は切り離して、まずは伝えてみる。それが伝えることがうまくなる道だと書いてある。
この本はいろんな人の役に立つ。伝えるのは、発信者や著者、アナウンサーに限らずどんな人も必要なスキルだから。もっと本の良さが伝わるような文章が書けるようになるといいなと思う。
バナナの魅力を100文字で
大変だった時期に、何か元気を出す食べ物はないかと調べていたことがある。そんな時、ラジオで知った話。なんとバナナには幸せホルモンの原料がたくさん入っている。あの黄色い皮の中には、幸せが詰まっていたなんて。
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