目立ちたかったのは誰?〜宝くじで1億円当たった人の末路を読んで〜

奇妙な名前をつけようとする親の多くは、ごく普通の人たちです。(本文より引用)

 人の生き方は色々だ。双子だって全く同じ人生は歩まない。たとえ最初は同じ地域に住み、同じ程度の教育を受け、同じような社会で若い頃を過ごしたとしても、ちょっとした選択一つで人生のその後は大きく変わっていくからだ。自分で決めた選択もあれば、向こうからやってくるコントロールできないものだってある。この本ではある生き方の選択をした人はどういう末路を辿るのか、ということが様々なケースごとに専門家がインタビューに答える形で書いてある。著者は日経ビジネス副編集長の鈴木信行さん。

 タイトルにもなっている宝くじで1億円当たってしまったらどうなるのか?を皮切りに、子どもを作らなかった人はどうなるのか?海辺の街でゆっくり暮らしたいと思った人はどうなるのか?と色んな気になる人が出てくる。中でも印象に残ったのは「キラキラネームの人の末路」だった。
 名前というのは時代によって雰囲気が変わっていくものだ。時代とまで言わなくても、10年ほどの差でも違いがあるもんだなと感じる。新入社員の人の名前も、見たことのない漢字が使われていて音の響きなんかもオシャレな感じがする。そんな中でキラキラネームと呼ばれる奇妙な名前も登場しだす。何がキラキラネームかと言われると定義は難しいが、個性的で奇妙な名前と本書には書かれている。
 キラキラネームをつけられた人がどういう風に生きるのかということが書いてあるのだが、名前だけで不利な目にあう、悪目立ちして周囲から損な対応を受けるきっかけになってしまうということだった。そもそもキラキラネームというカテゴリー付の時点から色物扱いされているし、やっぱり名前が奇妙で個性的だと大変な思いをすることのほうが多そうだなと思った。大事な名前で変に個性を主張させたがる親って変わった人なんだろうなと思っていたが、どうもこれが違うらしい。こういう名前をつける親は普通の人が多いそうだ。考えていたイメージと全く真逆で驚いた。どういうわけかというと、自分が特に目立たずに普通の人生だったので、子どもには特別な人生が送れるようにと、そういう奇妙な名前をつけるケースがあるのだ。なんだとっても優しい親心からそういう名前になっていたのか、と思ったのだがこれもどうやら違うらしい。そういう親は子どもを自分の所有物のように思っている価値観があって、自分の人生の一部として子どもを捉えているような節もあるそうだ。子育てを自分の人生の敗者復活戦にしている、という表現が出てくるのだがあまりに的確で結構グサッとくるものがあるだろうなと感じた。

 当たり前の事だけど自分の名前って自分で決めてない。だけどその名前が自分の人格を表すように受け取られてしまう。そうすると人生のあらゆる場面で名前に振り回されてしまう。こんな事ばかりが起こると辛い。名前は、付け方次第で呪いの呪文のようになってその人を縛り付けてしまうかもしれないと思うと不思議なものだなと思った。調べてみたらそういう事情があれば、家庭裁判所や区役所などで改名を受け付けてもらえると知った。

コメント

タイトルとURLをコピーしました